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編集・ライター
佐々木 梨緒

知らない場所を探したり、人に話しかけてみたり。 実は人見知りだけど、もっともっと沢山の人に出会って、 色んな文化や物語に触れたいから、 目指せ人見知り克服。

2020.01.16

伝統とは、受け継ぐとは、そして、どう、受け継ぐか。わたし、わたしたちはどう生きるべきか:赤坂

和えて special

惠川さんはよどみなく話し続けた。伝統を大切にすること、お金もうけに走らないこと、地域の発展が神社の発展であるという精神……。やろうと思えばお金もうけもできる、伝統を壊すこともできるという状況にあって、どのような核が惠川さんの心のうちに存在するのか。それは、兄への尊敬と、神社という伝統にたいする責任を一身に背負ったこころざしから生まれているのだと感じられた。

 

▪もてなし

 

重厚なストーリーを聴いた後で、参加者にはお茶とどらやきが振る舞われた。お茶はペットボトルタイプのもので、一度フタを緩め、お茶の粉末を落としてからフタを締めてふると、水がその場でお茶になるという優れモノである。

引き続いて行われた質問コーナーにおいても、惠川さんは真摯に丁寧に答えた。やはり確固とした信念を持つ人の話はかっこいい。

質問コーナーをもって、イベントは終了した。あっという間の二時間だった。

 

▪雨の中

 

雨が止んだと聞いて、外で集合写真を撮ることになった。

雨は弱まったり強まったりと不安定だったが、惠川さんが外のものの説明をしてくださるということで、傘を持ってぞろぞろとついてゆき、狛犬や大銀杏の木の話をうかがった。

 

 

 

▪雨は美しいし大したことないもの

 

すっかり解散すると、たたきつけるような大雨になった。不安定な一日だ。境内はその雨に打たれながら、なお神妙なようすでしずかに佇む。人ばかりが横行して、木も狛犬も御社殿も、雨など構わぬという顔をして佇む。何百年も季節と天気の移り変わりにこうして生きてきたのだ。わたしはまた、江戸時代の情景を想起した。

 

▪そして帰り道をゆく

 

すべてが終わって、わたしははじめて氷川神社の正面を見た。ここで聴いたこと、起きたことが目裏に去来する。

 

澄んだ目を持つ人に出会えた帰りだからか、あたりは清明な光景になって目に映った。気づけば雨も小雨になっていた。

駅に向かう途中で、外国人女性にスマートフォンでの電話のかけ方を尋ねられた。はて、と画面をのぞき込んでいると、女性は問題なく通話し始めた。それからわたしを見て言った。

「カムサムニダ」

それから、すべてが明るい梅雨空の下を、わたしはまた歩き始めた。伝統とは、受け継ぐとは、そして、どう、受け継ぐか。わたし、わたしたちはどう生きるべきか――。そんなような大切なことを考えるための触媒となったこのイベントは、わたしの人生の中の大切な経験として心に残っていくのだろうと思う。

佐々木梨緒


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