AETE あの人がいるから旅したくなる。アエテ

うつみ まなみ
コミュニティマネージャー・広報
うつみ まなみ

音楽とそれを楽しむ人で溢れる空間が好き。 旅とアートと食にも興味があります。

2020.01.14

19年4月19日三ノ輪、旅するトーク

和えて special

■三ノ輪旅するトークの集合場所は浅草

「集合は浅草駅です。お間違えのないように。」前日にアナウンスメールを読んで慌てて、乗り換え案内の登録を浅草に変更した。
危うく三ノ輪で1人待ち続けることになっていたかもしれない。

今回の旅は、奥浅草、裏浅草などと呼ばれているエリア。「奥」とか「裏」とか聞くとより、興味が湧いて覗いてみたくなるのはなんでだろう。
メイン観光地浅草から徐々にディープな文化に触れる機会になるんだろうと期待しながら出発した。

 

旅のテーマは「革靴」。このエリアは革の聖地だそうだ。靴の工房をめぐる旅。
「パンプスメソッド研究所i/228」で3D測定器で足のサイズを測る体験をした後、三ノ輪に移動し、婦人靴の「パイロットシューズ」本社工場や、旗艦店である「Wisteria Fujiwara(ウィステリア・フジワラ)」、ブーツリペア専門ショップの「福祿壽」、日本初の安全靴メーカー「青木産業」を廻る旅。コースを聞いただけでも、靴に携わる方が多い街だとわかる。

三ノ輪の文化を体感する他に、期待している事があった。それは、自分に合う靴のヒントももらえるのではないかということ。

私と革靴の相性は、とにかく良くない。絶対に、靴擦れを起こすのだ。
特にヒールは最悪だ。歩いても歩いても足になじまないし通常より小さいサイズのものを購入しても、前に滑って踵に空間ができ、草履を履いているかのような歩き方になってしまう。
昔シューフィッターさんにサイズを測ってもらったところ、足の長さのサイズのほかに横幅のサイズもあるそうだ。
その横幅が既製品の規格より小さいため、合う靴が見つけにくいという事だった。それ以来、シンデレラを求める王子様以上に自分に合う靴をずっと探している。

■テクノロジーと手作業のあいだ

最初に訪れた「パンプスメソッド研究所i/228」では、3D測定器で足の測定をした。
ここの研究所では、フィッテングにかかる時間を短縮や、ECサイトでも買いやすくなるように履き心地の基準値を生み出そうと研究を続けているという。
足のサイズ(縦サイズと横幅)がわかっても、フィット感の感覚は人によって違うため、全員に該当する基準値を設けることは難しいそうだ。
そのため、288通りのサイズを作り、その中から比較的に合う靴を見つけ、より自分の足に合う靴を選ぶ探し方を提案している。

参加者は全員測定器で足のサイズを測った。中にはいつも履いているサイズより小さい人もいたし、左右で大きさが違う人もいた。ただこれは珍しいことではなく多くの人が自分の足のサイズをあまりきちんと認識していないことが多いと言う。
正しいサイズに、各々が感じるフィット感。
合う靴を探すことは難しいと思っていたが、作るのも難しく、試行錯誤があることを始めて知った。

 

次は、バスで三ノ輪に。
向かったのは、1950年創業のパイロットシューズさん。革靴作りの老舗メーカーだ。工場見学をしながら、靴作りの説明を受ける。革を切り出す人、革と靴底を合わせる人、仕上げる人・・・。各々の職人さんが靴と向き合っている様子を見学させてもらった。
革の切り出しや、ヒールを安定させる圧縮は機械で行うものの、ほぼ手作業だった。百貨店などに並ぶ綺麗な靴でも既製品だともっと機械化されていてベルトコンベア上で作業されるものかと思っていた。
靴が高い理由がわかった。丁寧作られていく過程を見ると、あの値段はむしろ安いぐらいだ。

 

三件目は安全靴の青木産業さん。
工場は、山形県河北町。草履を作っていた創業者は東京に販路を求め、たどり着いたのが、職人が多く働くこの地だったそう。
そして釘や重い物を扱う仕事の危険性に気づき、安全靴を作り始める。厚底にしたり、足の甲を守るために蒲鉾状の鉄板を貼り付けたり、米軍の払い下げのテントの生地で丈夫な靴を作るなど工夫を重ね、今では車が乗っても大丈夫な安全靴が販売されている。
実際に安全靴を履いた専務の足の上に車が通るデモンストレーションをしていただいた。
1トンの重さまで耐えられる靴らしい「“安全”と名がついている以上、中途半端なものは作れない」と職人のために作りはじめた靴を作る方々もまた、職人として想いを持っていた。

 

次は、靴のリペアをされている福祿壽さん。
実家のお寿司さんの屋号らしい。
アメリカンテイストな店構え、二階はショップで一階は工房。

靴とバイクが好きなオーナーは、バイク仲間からエンジニアブーツなどバイカーブーツのカスタムを依頼されるようになり独立したとのこと。

 

修理やアレンジなど、ありとあらゆるオーダーに応えられるようにソールや釘に至るまで、細かいパーツを取り揃えていた。
工房の壁には地層のようにびっしり隙間なくソールがならび、何気なく置いてある釘のも、より靴に合うように職人に作ってもらったこだわりのものとのこと。
修理中のブーツにはネームタグがついておりオーダーが書かれているものもあった。これをオーダーした人が綺麗になった靴を手にした時、どんな顔をするのだろう。と考えながら工房を出た。

最後に訪れのは、パイロットシューズのフラッグショップ店である、「Wisteria Fujiwara(ウィステリア・フジワラ)」。今回の旅で唯一の店舗だ。

専門スタッフの楢田さんは、オーダーパンプスは時間もお金もかかるが、お客様それぞれにあった靴を作ることで、長く使ってもらいたいとの想いを語ってくれた。
売りっぱなしではなく、その後の状態の調整ができる場所が欲しいと店舗を作ったそう。

店舗があることでお客様との距離感が近くなり、個人の足のデーターが蓄積されるので、誰が履くのかが明確にわかるオーダーは職人さんも作成のテンションがより高まるそう。
ものづくりは受け取る人が居てこそなんだと話を聞いていて思った。

 

■自分があわせるのではなく、フィットする靴を見つける

パンプスを試し履きさせてもらった。
パンプスメソッド研究所i/228で測定した3D結果と以前指摘された足の幅の狭さを伝えると3種類のパンプスを用意してくれた。
足のサイズ23.0㎝のD.C.B。アルファベットは横幅のサイズのことでDが一般的でそこから6mずつ狭くなってくる。
私は23㎝のCと測定で出ていたのでD.C.Bと順に履いていった。Dは縦の長さは同じでも、踵がパカパカして歩けない。Cでぴったりかと思ったら、まだ踵がフィットしない。
Bだと踵はフィトするが前がキツイ。
なんだ、合う靴はすぐには見つからないのか、とがっかりしていたら、楢田さんがCの靴に中敷きを入れてくれた。踵がフィットし歩きやすくなり、工夫1つでこんなに変わるのかとも感動した。きついと感じるのは自分の感覚もあるようで、自分の感覚を伝えながら、靴をアレンジしていく。
気持ちよく履き続けるためには、自分の感覚を伝えていいのだと、安心した。
今まで、革はのびるから、馴染むからとアドバイスを受けるたびに、靴に合わない自分の足の形が悪いのだと思っていた。
色々試し履きをさせていただき、踵はBのサイズで前はCの幅のサイズが1番心地良く歩きやすいサイズであるということがわかった。
なるほど、幅が違う靴を私は既製品から探そうとしていたのか。と苦笑いをしてしまった。
多分、私だけではなくてたくさん人に当てはまることなんだろう。
ぜひ、一度試してほしい。

■モノをつくるということ
ものづくりに携わる方々の話を聞くたびに彼らの話の中から、その物を使う人がどんな人なのかイメージできた。
だから、彼らは丁寧に、こだわりをもってものづくりをしているのかもしれない。

前の記事前の記事 BACK TO 和えて 次の記事次の記事

アスエ event