AETE あの人がいるから旅したくなる。アエテ

22年度編集長
中村 斐翠

真っすぐな人のきらきらした目が好きです。 正しいときに、正しい重さの言葉を選べるようになりたい。

2022.09.14

ーNewMake × Kumiー「ものづくり」を介し繋ぎ続けたストーリーー

和えて special

株式会社 Story&Co.は『想いの交差点』を創出する新たなプログラムを2021年7月にスタートしました。
サステナブルなファッションコミュニティ「NewMake(ニューメイク)」です。大量消費・大量廃棄を余儀なくされ る現代のファッション業界に一石を投じる試みとして、パートナー企業から提供して頂いた洋服や雑貨を利用し、 新たな価値作りに挑んでいます。
その拠点となる「NewMake Labo(ニューメイク ラボ)」には個性溢れる作り手・NewMaker が集まり、ものづくりと向き合っています。私たちはこのシリーズで NewMaker の 1 人 1 人 にスポットを当て、そのルーツや想いを探ります。そして服を通じて大切な想いや物語のバトンを繋ぎ、新たな価値を生み出す NewMaker の魅力を発信していきます。

NewMake について語るときに NewMaker の語ること。
第四弾は数々のブランドコラボに参加し、多くの NewMake 作品を生み出し続ける Kumi さん。その作品はシャツやコートからテディベアに至るまで多岐に渡り、刺繍機を活用した美しい刺繍が入っていることも特徴的です。
そんな Kumiさんは普段、縫製・グラフィックデザインの仕事を業務委託で請けつつ、ご自身で刺繍機を使った作品作りもされているそう。多方面で活躍中の Kumiさんに、ものづくりに対する想いや働き方について伺いました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

NewMaker PROFILEーKumiー

短大で服飾デザインを学んだのち、縫製業務に従事。
これからは 1 人 1 台 PC を持つ時代になり、PC 上でショッピングもデザイン作成も可能に なると考え、仕事と並行して web やグラフィックデザイン、DTP を学ぶ。EC サイトの立ち上げ業務にも従事した。
一方で自身のブランドも運営、商品はセレクトショップで取り扱われ、装苑・zipper にも掲載された。
現在は自身の経験や学びを活かし、デザインやデータのスキルが必要な刺繍機での作品作り も行っており、独立を目指して活動している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■ものを生み出す喜びに触れた幼少期。

ーKumiさんが服作りの世界に入ったきっかけを教えてください。

大きなきっかけはないんです。
母親が洋裁をする人だったので、幼少期からものづくりは身近な存在でした。
糸と針でほつれた部分を直してくれたり、「こういうのが欲しい!」と拙い言葉で伝えるとそれを形にしてくれたり。作ること、直すことが当たり前の環境で育ったので、小学生になる頃には自分でもフェルトのマスコットを作ったりしていましたね。自分のイメージを手のひらにのせて、可視化できた達成感や、それに対して同級生が「素敵!」「かわいい!」と感激してくれる喜び、「私も作りたい」と作る時間を共有する楽しさを幼いながらに感じていました。

また、ものづくりに関して高校生のころ印象に残った出来事がありました。
当時、あるブランドのショルダーバッグを背負うスタイルが流行っていたんです。でも、そのショルダーバッグは、高校生の私には逆立ちしても買えない高価なものでした。
だったら本当に欲しいバッグを作ればいい、と考えたんです。そこで、あるブランドのショッパーの形に別のブランドのロゴをバランスよく組み合わせ、オリジナルのバッグを作りました。それで通学していたら、「どこで買えるの?」「私も欲しい!」と同級生の間で話題になったんですよ。
創り出すことよりも、そのことに対する友人達の反応の方が記憶に残っていて。
ものを創り出すって改めて凄いな、こんなふうに人の心を動かし、驚いたり喜んだりしてもらえるんだと実感しました。

―きっとそのバッグに、すでに Kumi さんのセンスの良さが表れていたんですね。そういった過去の経験を通して、自然とものづくりの道を選ばれたのでしょうか。

そうだと思います。
創り出されたものは、実体としてきちんと存在していて、目に見えるし、触れられるじゃないですか。そこに嘘がない気がして、安心感があるなと思うんです。目の前の実物を共有することで、 感情や体験を共有したり、新しい発想に出会ったり、人と繋がったりできることが本当に凄いなと感じていました。それを実際に仕事にしている方たちには常々敬意を抱いていたんです。
創り出せることへの感動や、形として可視化したものを喜んでくれる人達がいるかもしれないという想いが、服づくりの道に進んだ原点になっているのかもしれません。

■新しい環境に飛び込み続けること。

前の記事前の記事 BACK TO 和えて 次の記事次の記事

アスエ event