AETE あの人がいるから旅したくなる。アエテ

22年度編集長
中村 斐翠

真っすぐな人のきらきらした目が好きです。 正しいときに、正しい重さの言葉を選べるようになりたい。

2022.05.14

NewMake×森竹未来ーありのままを優しく包むニットたちー

和えて special


株式会社Story&Co.は『想いの交差点』を創出する新たなプログラムを今年7月にスタートしました。

サステナブルなファッションコミュニティ「NewMake(ニューメイク)」です。大量消費・大量廃棄を余儀なくされる現代のファッション業界に一石を投じる試みとして、パートナー企業から提供して頂いた洋服や雑貨を利用し、新たな価値作りに挑んでいます。その拠点となる「NewMake Labo(ニューメイク ラボ)」には個性溢れる作り手・NewMakerが集まり、ものづくりと向き合っています。
私たちはこのシリーズでNewMakerの1人1人にスポットを当て、そのルーツや想いを探ります。そして服を通じて大切な想いや物語のバトンを繋ぎ、新たな価値を生み出すNewMakerの魅力を発信していきます。

NewMakeについて語るときにNewMakerの語ること。
第三弾は、MISSONIやPUMAのNewMakeで素敵なニット作品を制作してくださった森竹未来(もりたけみく)さん。
服飾の専門学校に通いつつ手編みニットの制作活動を行う彼女の作品たちは、儚げで可憐な空気を纏っています。彼女の作品作りや、作品に込めた想いについて伺ってきました。

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NewMaker PROFILE
ー森竹未来ー
文化服装学院ニットデザイン科在学中 服飾学生
植物に囲まれた環境で育ち、音楽家の母と洋裁が得意な祖母の影響を強く受け、服飾の勉強の為に上京。
生きづらさに悩んでいた時期に救いとなった編み物を手法に、花や儚さをテーマとしたニットドレスを制作している。
LGBTQ+当事者。

https://instagram.com/crochet_mof
https://twitter.com/mof_crochet
https://crochet-mof.stores.jp

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■「muse of flowers」、花々の女神たち。
ー森竹さんの作品は女の子がニットドレスを着ているものが多い印象を受けるのですが、何か一貫したテーマなどがあるんでしょうか?

全体としてのテーマが定まっているわけではないのですが、去年一年間は「muse of flowers」、花々の女神たちというのを大きなテーマにしていました。
「ニットを通してお花を表現してみたい」という想いが根底にあり、お花をイメージしてニットドレスを編みました。そのドレスを女性のモデルに着てもらうことで、お花と少女を重ね合わせて表現しています。このふたつは、儚いけれど生命力があるところが通じていると思うんです。


model/hinano Instagram@osushi_no_hi

ー表現するテーマとして、お花や少女を選んだのはなぜですか?

魅力を感じるからです。
小さな頃からお花に囲まれて育ったので、自然とお花に惹かれるようになりました。
すごく小さいのに一生懸命生きていて、綺麗に咲いて色々な人を癒すのに寿命はとても短い。そこに美しさを感じるんです。
少女でいる期間にも同じ種類の儚さを感じるので、そういう儚さに魅了されているのだと思います。

ー儚さに魅入られるというのは何か理由があってのことでしょうか?

うつ病と摂食障害の経験が元になっています。
高校生のころに患ったこの二つをきっかけに、これまで順調だった自分の人生が崩れていくような気持ちになったんです。生きることや死ぬことが自分にとって身近になったために、生命や人生の儚さのようなものを感じたのかもしれないと思います。
そのときから、掴みにくくて形容できないようなものの感覚が肌に馴染むと考えるようになり、それに近い儚さにも魅力を感じるようになりました。

■ニットとの出会いと、感じてきたこと。
ーそんな森竹さんがニットの制作活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

私がうつ病や摂食障害から回復するきっかけとして始めたのがニットでした。
編み物との出会いは、中学生の頃先生に教えてもらったこと。その時は純粋に楽しくてはまっていたのですが、高校生になる頃にはあまり触れなくなっていました。
ところが鬱になってから、リハビリを兼ねて簡単な編み物をするようになったんです。そうしたら、元々好きだったのもあってやっぱりとても楽しくて。
同じ時期くらいに犬を飼い始めたのですが、その犬の存在に自分自身すごく救われていたんです。だから、なんらかの形で犬に恩返しをしたいと考えていて、ニットで犬のお洋服を作ってあげようと思ったのが始まりでした。
犬のお洋服作りを始めたらすごく楽しくて、自分の犬だけでなく友だちの犬のお洋服も作るようになりました。頼まれては作り、頼まれては作りというのを一年半ほど繰り返しているうち、自分の洋服も作りたくなり、人のお洋服も編んでみようと考えたのが19歳ごろ。
たまたま始めたニットが自分の道というか、本心の吐き出し口のようなものになっていたのだと思います。

ー作り続けているうちに、学びたくなって文化服装学院へ進学されたのでしょうか?

進路を考えているとき、「一度は死んだほうがいいのかなというところまで落ちたことがあるから、どうせ生きるならとりあえずやりたいことをやってみたほうがいいんじゃないかな」と思ったんです。やりたいことを勉強して、それを仕事にしたいと思えればすればいいし、違ったら変えればいいし。
ニットの制作は本当に楽しかったし、元々祖母が文化服装学院の服飾学生だったのもあり、文化服装学院に行こうと思いました。
でも1年生の頃に拒食症を再発してしまい、これ以上制作活動は行えないと考え休学することにしたんです。その頃は「万人受けするような普通の服を作らなくてはならない」という気持ちや「完璧な基礎ができるようにならなくてはならない」という意識がすごく強く、勝手に自分を追い込んでいました。自分で自分の首を絞めて、周りの言うことを気にして、というのに疲れてしまったんです。

そうだったのですね。一方で休学期間には展示やリースなどを積極的にされていますが、それは森竹さんの中に何か変化があったのでしょうか。

休学し始めてからは、何かのたがが外れたのか人の目を気にせず自由に作れるようになりました。
そうやって自由に作った作品を発表したら、喜んでくれる人や認めてくれる人がいたんです。作品をみてすごく幸せな気持ちになった、と仰ってくださったり。
「私の作ったニットによって少なくとも人を幸せにすることができるんだ」と知り、段々と自分は必要とされる存在だと感じられるようになりました。
作品撮りや展示の回数を重ねるにつれ、好きなものを作りたいだけ作るにつれ、自信が少しずつついてきて、好き勝手にやってもいいのかもしれないと思えてきたんです。
実は今年から念願のニット科に復学したのですが、それも自由に作ってもいいんだという自信を得られたことが大きいかもしれません。今年からは本当に自分に作りたいものを追い求め、好きなように表現してみたいと思っています。


森竹さんが服飾学生になって初めて製作したセットアップ。森竹さんの実母への想いが強く込められた、とても思い入れのある作品だという。
photographer/ she and fish
model/もなか Twitter@Monaka_ringbell

■静と動を表現したNewMake
ーNewMakeに応募してくれたきっかけはなんですか?

Instagramで知ったことがきっかけです。
拒食症の回復のためにビーガンの食事やライフスタイルに興味を持つようになり、そこからサステナブルだったり、SDGsだったりにも関心を抱くようになったんです。加えて、前々からファッション業界の産業廃棄物の問題を知っていたのもあって、それらに関する情報をInstagramで集めていました。広告で流れてきて、たまたま見つけたのがNewMakeだったんです。
最初のコラボブランドがMISSONIなのを知って、MISSONIはニットのハイブランドだし、とりあえず応募するだけしてみようと、飛び込んでみたのが始まりです。

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