AETE あの人がいるから旅したくなる。アエテ

早川 遥菜
19年度編集長
早川 遥菜

ハンバーグが大好きと公言していますが、 「母の作る」ハンバーグが大好きなのです。 気持ちに素直な人であり続けるために、 今日も沢山の物語に出会います。

2018.11.27

家族みんなで作る温かい病院。こんな素敵な病院があったんだ。:稲荷町

和えて special

■考え事をしながら

旅に向かう途中、旅するトークと出会う前の私をふと思い出してみた。
授業が終わると、何を食べようかなあとか、何をしようかなあとか、そんなことをただぼんやりと考えながら駅まで歩く。いつもと変わりない帰り道をとぼとぼと歩き、食べたいものがあるわけでもないのに、なんとなく近所のスーパーに寄り、割引シールの張られているお弁当を手に取ってレジに並ぶ。そして「おかえりなさい」「ただいま」の言葉を最近口に出してないなあ、とポツリ思いながら、割りばしをパツンと割ってお弁当の蓋を開く。そんな私の放課後は、安定していて、それからなんとなく物足りなかった。

稲荷町という駅があると知ったのは、今回が実は初めて。
旅するトークに出会えなかったらきっと一生稲荷町を訪れることもなかったのだと思うと不思議な気持ちになる。

■薬に頼らない薬剤師さん

仏壇のお店がなんとなく多い。自転車用の道が整備されていて道路はものすごく綺麗なのに、並ぶお店や看板は歴史を感じるものがちらほら。稲荷町はどんな街なんだろう、と思いながら歩いていると、今回の旅の会場、元浅草池田クリニックに着いた。

診療時間を終えた病院のはずなのに、中は人の声で随分とにぎわっている。待合室のソファを次々と診療室に運ぶスタッフの方たちがいて、病院らしい旅の会場づくりがいつもと違って新鮮な感じ。
また今回のゲストの中には、普段この病院に通われている患者さんも参加してくださっているとのこと。
「なんだか今日は話が聴けるみたいでねえ」
主治医さんとゆっくり話をする時間なんて普段はなかなかないはずだから、今日はきっと患者さんにとっても特別な日になるんだろうなあ。

そして今回のホストは、稲荷町で薬剤師をされている溝呂木俊介さん。「予防医学を発信する薬局」を稲荷町にオープンして1ヵ月、まだ稲荷町に来たばかりの溝呂木さんだが、この街で生活していくたびに稲荷町の奥深さを感じ、新しくこの街に入ってきた身だからこそ感じるこの街の魅力を伝えたい。そんな思いから今回の旅が生まれた。
実は溝呂木さん、ただの薬剤師ではなく、「フリー薬剤師」という独立した薬剤師さん。この「フリー」には、薬剤師という職業の活躍できる場を広げたいという想いが込められており、企業との交流や講演会、ラジオなんかもされているスーパー薬剤師さんなのだ。

「患者さんが実際に口に入れるものを提供するといった意味では、ある意味1番患者さんに近い気がします。」
薬を売るのが薬剤師さんの仕事なのに、薬に「頼らない」予防医学を推奨する溝呂木さん。
そんな彼が今回井戸端スピーカーに選んだのが池田淳院長だ。彼もまた溝呂木さんと同じく病院に通う前に病気やけがを事前に防ぐことを推奨するお医者さん。病院や薬局なのにお客さんを減らすように努めているなんて、何だか不思議な感じがするけれど…。

■ラグビー時代の恩返し

今では患者さんのために毎日一生懸命な池田さんだが、そんな池田さんが学生時代に熱中していたのはラグビーだった。私も前回の外苑前旅するトークで、ラグビーの話を聞いたことがあったので熱いスポーツであるのは既に知っていたが、彼もまたれっきとしたラガーマン。強豪と呼ばれるチームで毎日練習をしていたが、そんなラグビー一筋のある日、ケガをしてしまう。
このままでは手術をしかねない、色々な事を諦めなくてはならない…と覚悟を決めた池田さんを救ったのは「理学療法士」さんの存在だった。
手術に頼らずケガを治そう、という理学療法士さんの治療法は整形外科医である池田さんの医学知識を大きく変えたという。そして当時祖父が経営していたこの病院を引き継ぐ際に新しくリニューアルし、リハビリ室などを新たに取り入れ、今の元浅草いけだクリニックが誕生したのだ。

この秘話には、話を聞いていた患者さんたちもびっくりしているようだった。昔からこの病院に通っているというお2人だったが、まさかラグビーが主治医さんの物語の奥に潜んでいたなんて…。
いつもの場所に新しい物語が吹き込まれると、全く違った見方ができるのも、この旅するトークの魅力の一つなのだ。

■歴史ある「熱い」街

ところで、ずっと池田さんの隣に座ってお話を聞かれていた、優しそうで紳士的な男性は誰だろう…と思っていたら、なんと池田さんのお父さん。池田さんよりもずっと昔から稲荷町を知っているため、今回はお父さんの当時の思い出や記憶と一緒に稲荷町の歴史について教えてもらう。
稲荷町は日本で初めてできた地下鉄の駅の一つ。浅草、田原町、上野に並ぶ駅でなんと91年前のデザインと変わらず今も街を見守っているシンボルのような駅だという。それから稲荷町には落語の発祥となった下谷神社があるなど、歴史ある建物が多いため、神を祀るお祭りはいつも大賑わい。この街はお祭りのために生きている人が多いというくらい、熱い街だという。それにしても仏壇屋さんの間にお神輿屋さんがあるのには気が付かなかったなあ。

■ピラティスで体もぽかぽかに

温かいトークを聴いた後は理学療法士さんによるピラティス体験。私もパソコンやスマートフォンをよく使用しているせいか、姿勢が悪くなってしまうことが多いので、今回は取材を忘れてがっちり体験させてもらいました。

いつも使わない部分を伸ばしたり動かしたりするから、めちゃくちゃ痛い(笑)。ゲストの皆さんも必死に療法士さんに手伝ってもらいながらも苦戦している様子。でも体を動かすことでいつのまにかゲスト同士が仲良くなってきて、体だけではなく心もぽかぽか温かい。

こんなにもお医者さんとの距離が近い機会もないので、ゲストの人たちは自身の体の悩みや通っている病院の相談などを思い思いに池田さんと話していた。病院の付き合い方を実際に先生から教わることなんてないから、すごく参考になる。病院嫌いの私もこんな優しい先生が近くにいたら安心なのになあ…

■放課後の幸せな時間

「今日はありがとうございました」
旅が終わり、片付けが済んだところでご挨拶。病院のスタッフの方が揃って挨拶してくださった。
と、ここで衝撃の事実。なんと揃って挨拶してくださった皆さんは池田さんの家族だったのだ。初めに優しく私を誘導してくださった女性の方は池田さんのお母さん、池田さんのトークを遠くから温かく見守っていた女性の方は、池田さんの奥さんだった。
家族みんなで作る温かい病院。稲荷町にはこんな素敵な病院があったんだ。

学校が終わって、まだたったの3時間。なのに1つ物語が生まれた。
放課後に知らない人と出会える毎日が来るなんて。
会社終わりに、学校終わりに、出張先の合間に。物語はいかがですか。

早川遥菜


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