AETE あの人がいるから旅したくなる。アエテ

19年度編集長
早川 遥菜

ハンバーグが大好きと公言していますが、 「母の作る」ハンバーグが大好きなのです。 気持ちに素直な人であり続けるために、 今日も沢山の物語に出会います。

2018.08.06

細井優さんの『サラドの時間―美味しいとヘルシーは共存できる』

会えて report

天王洲アイル。オシャレなエリアの平日の昼下がりは、オフィスに人が戻ってしまうため、ランチ時のあの騒がしさはどこに行ってしまったのかというほど。そんな静かなオフィス街の片隅で、今回の物語は始まりました。

外は蒸し暑く日照りも強い。今年じゃもう当たり前のような猛暑日。しかし「サラド」さんを見つけると、木漏れ日のような優しいお店の雰囲気に、まだ入ってもいないのに涼しささえ覚えます。

逃げるように涼しい店内に入ると、既にテーブルには今日の資料が。細井さんが作ってくださったこの2時間をたっぷり参加者の人に楽しんでもらおうという、心のこもったおもてなしです。

最初に、この小さな旅を一緒に楽しむ参加者と細井さんによる「他己紹介」の時間。「自己紹介」ではなくて、「相手を紹介する」ということを細井さんから聞いて、私たち参加者はびっくり。「他己紹介」というのは、最初に2人ずつ向き合って自分のことを紹介してから、今度はみんなの前で相手の人のことを「この方は○○で~」という感じにお話しをお伺いした方を紹介していくというものです。

私も実際に挑戦してみました。
相手のことを紹介しようと思っても、初めて出会った方だからなかなか難しい。
だけどその分相手のことを早く理解しようという気持ちになるので、なんだかすぐに仲良くなれたような気がして、とっても不思議で素敵な挨拶でした。

他己紹介が終わったところで、次はアイスブレイクの時間。2時間の旅というのは案外あっという間なものなので、目を摘むって1分数えて、1分経ったなと思ったら、手を挙げるという時間のトレーニングをしました。10秒や30秒は皆さんも試されたことがあるかもしれませんが、1分は結構難しいんです。案の定、1分ぴったりに手を挙げた人はいませんでした。しかしこのアイスブレイクのおかげですっかり緊張もほどけ、旅の始まりにちょうど良い雰囲気がでてきました。これも細井さんならではの優しい心遣い。

旅の準備体操が終わったところで、今日のメインに入ります。

今日のメニューは、サラダづくりとほうれん草のチョップ体験。どんなサラダが完成するのでしょうか。ドキドキです。

細井さんのお店は2016年9月にオープンしました。もともとは別の会社で働いていた細井さん。以前働いていた会社で、仲の良かった友人が狭心症になってしまったことをきっかけに、オフィスワーカーへの健康に価値を向けるようになります。

その後、細井さんご自身が実験台となり色々と試した結果、お昼に炭水化物を多く取ると血糖値がぐんと上昇して、その後短時間で急降下し、その高低差で眠くなり仕事のパフォーマンスが落ちてしまうことに気付いたそうです。そこでお昼にサラダ中心の食事をすれば、午後も効率よく仕事ができ、結果定時でお家に帰ることができて、今の日本人の働き方の課題でもある残業などもなくなるのではないか、と考えられたそうです。

サラダはオフィスワーカーのスキルパフォーマンスを向上させる効果がある、ということに気が付いた細井さんとサラダの関係は、その後あっという間に加速していきます。

自分で食べたランチの内容が仕事に悪い影響を与えない様に、血糖値をコントロールしたサラダづくりを意識したり、彩りや食感、そして飽きることのない味付けなどを考えることで、野菜を食べる楽しみを知ってもらおうとしたり。そんな細井さんの優しい思いが「サラド」の原点。

さて、細井さんのサラダに対する温かい想いとエピソードを聞いた後は、いよいよ私たち一人一人がオリジナルサラダを考える時間。

トマト、アボガド、パプリカ、クルトン。資料に書かれたたくさんの食材を、自分が決めたテーマをもとに選んでいくのですが、これがとても難しい。大好きなものばかり書かれているので一向に選べません。悩みに悩んで、結局私は好きなものを欲張って選んでしまいました。

「毎日食べたくなるサラダ」「ダイエット」「欲張り色イロサラダ」私たちのテーマはこんな感じ。同じサラダを作るのでも、人によって選ぶ材料はバラバラなのが面白い。さて、どんなサラダができるんでしょうか。

選んだ食材をお店の人にボウルに入れてもらっている間に、ほうれん草のチョップ体験です。ほうれん草を「メッツァルーナ」という不思議な形をした包丁を使って切っていきます。

ザクザク、シャキシャキ。

ほうれん草は切れ味のよい三日月型の包丁によって細かくなっていきます。普段とは違う形の包丁を使う体験はなかなかできないので、普段あまり料理をしない私も、今日ばかりはシェフになった気分(笑)。

選んだ食材がゴロゴロ入ったボウルが手元に帰ってきました。一人一人選んだ具材が違うので、色合いも全く違っています。

ここに、先ほど切ったほうれん草と、選んだドレッシングとを和えて、まぜまぜ。良い匂いがしてきました。お昼を我慢してきたからか、さっきからお腹の音が鳴りやみません。

そしてなんとここで、塩麹ドレッシングの作り方も特別にレクチャーしてもらいました。

塩麴には腸内環境を整える働きがあり、かつ誰でも簡単に作ることが出来るので、おすすめだと話す細井さん。ドレッシングって作るものなんだ、と料理初心者の私は驚きを隠せませんでしたが(笑)、本当に簡単で、美味しかったです。

サラダと、塩麴ドレッシングが完成。本当は今すぐにでも食べたかったのですが、色とりどりのサラダを前に突然の撮影会の開始です。参加者も細井さんも、パシャパシャとおしゃれに盛り付けられたサラダを写真に収めていきます。

ついに念願の「いただきます」の時間。やっと、やっとやっと。待望の食べる時間がやってきました。

今回の旅の素敵なエンディング。それは、作ったサラダを一人で楽しむのではなく、みんなでシェアするところにありました。

小さな器に、それぞれが自分の作ったサラダをみんなに分けていく皆さんの姿は、本当に幸せな光景。

今日初めて出会った人とサラダを作って好きな味を共有するなんて、最初は考えてもいなかったけれど、相手の好きな味を知ることは少しだけ恥ずかしくて、そしてとても嬉しいことでした。

同じ味なんか一つもなかったけれど、どのサラダも本当に美味しく、ヘルシーだった。

それは細井さんの物語と相まって、ぐっと深くて、優しい味がするサラドな時間でした。

細井優さんのストーリーはこちらから
サラドの時間~美味しいとヘルシーは共存できる~

子どもが食べたくなるサラダ

 

文:早川遥菜

 

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