AETE あの人がいるから旅したくなる。アエテ

早川 遥菜
19年度編集長
早川 遥菜

ハンバーグが大好きと公言していますが、 「母の作る」ハンバーグが大好きなのです。 気持ちに素直な人であり続けるために、 今日も沢山の物語に出会います。

2018.07.28

家電蒐集家・松崎順一さんの『現代の街を舞台にしたトレジャーハンティング』

会えて report

電器屋、メイド喫茶、アイドル。

今回のトレジャーハンティングの舞台に松崎さんが選んだのは、そんな様々なカルチャーが飛び交うお宝に溢れた街、秋葉原。

台風の訪れを気にしながらもまだその面影がない。そんな午後1時に集合をして、参加者と松崎さんによる3時間の旅がスタート。一緒に街を歩いていると、半世紀近くを秋葉原で過ごしてきたという松崎さんだからこその歴史トークがどんどんと出てきます。

ココには昔市場があったんだ、神田川から荷揚げをする場所があったんだ。

こんな感じで、今は大きなビルが建っているその場所を指さしながら説明してくれるので、とても分かりやすく、そして今は無き市場や荷揚げ場を、自分の前にそびえる高いビルを見上げながら思い浮かべると、なんだか変な感じがします。その街の達人に教えてもらうと、この場所が昔は全く違う街の姿をしていた、ということが身をもって実感できます。

最初に案内されたのは「山本無線」さん。このお店、実はショーケースを貸し出していて、自分の売りたいものを誰でも売ることが出来るというちょっと変わったお店なんです。ショーケースの中に並べられたモノたちは、そのショーケースの管理している人によって個人の好みがでて、腕時計だけが並べられたショーケースもあれば、昔のラジカセ、MDプレイヤーなど今ではなかなか見ることのできないものが入ったものがあり、まるでそれぞれのショーケースの中に、1人1人の物語が詰まっているかのように見えました。初めて見るものがたくさんあって、さながらここは私にとって博物館のよう。

松崎さんは、モノをみるだけで、何年物で、どこのメーカー、というのがすぐにわかるらしく、出会うモノすべてを解説付きで紹介してくれました。本当に何を聞いても答えてくれるので、まさしく博物館の館長さん。

その後、わたしたちが向かったのは「スーパージャンク」さん。

「ジャンク屋」さんとは、各機器の小さな部品を部品単体で買うことが出来るお店なんです。小さくて形の似ているものが多いので、売っているお店の方ですら何に使う部品なのかよくわからない。マニアなお客さんに使い道を教えてもらうこともある、というのですから、不思議なお店です。

現在は、松崎さんの把握している限りで、秋葉原には2店舗しかないといいます。

「小さな部品をあつめて自分で作るところに男のロマンがある」と話す松崎さんは、一生懸命ジャンク定めをしていました。私も松崎さんに習ってお店に並んでいる部品を見てみたのですが、意外にも、小さくて細かい部品を見ているのは楽しいことに気付きました。これは何の部品なんだろう。この部品は何の機械が欲しがっているのだろう。そんなことを考えながら部品を楽しく見ることが出来るなんて思いませんでした。

お店とお店の間にも、松崎さんの話は止まりません。電気機器どころか、街で出会うメイドさんや漫画の話もたっぷりと話してくれる松崎さん。ここまで来ると家電蒐集家という肩書では小さすぎると感じます。

次に向かったのは「イオシス」さん。ここはアップル製品マニアでもある松崎さんおすすめのお店で、新旧のアップル製品が破格の値段で提供されています。ここで私のトレジャー候補発見!なんと2mの長さがある、スマートフォンの充電コードがあったのです。

あともうちょっとの所で届かない…という経験があった私にとって、これは何としても手に入れたいトレジャー品。だって398円という驚愕の安さでヒーローになれると思ったら、もう買うしかないですよね。電気機器に興味がないと思っていたばかりに、このような場所は行く機会を自ら失くしている方も多いかもしれませんが、普段から使っているスマホやパソコンの不便さを解消してくれるモノたちに出会う、という身近な目的でも、こういうお店は十分楽しめるんです。

さて、トレジャーハンティングはまだまだ続きます。次のお店は「ハードオフ 秋葉原1号店」さんです。ジャンク館と書かれた地下にみんなで移動。ハードオフは以前行ったことがありましたが、まさかジャンクコーナーがあったとは驚きでした。

「電源が入りました、その他未チェックです」「チェック時音は出ました」

なんとも気弱な説明書きが添えられたジャンクたち。ここに松崎さんは魅力を感じるのだそうです。動かないものを動かすということへのロマン。好きなものを見ているときの松崎さんの表情はとても生き生きとしていて、わたしもつい、動くかわからないこれらのジャンク品が、松崎さんの手によって再び命を与えてもらった時のことを想像してしまいました。

その後わたしたちはカフェに移動し、お茶をしながら、松崎さんが今までに撮った蒐集しきれなかったコレクションの写真を見せてもらうことになりました。これまでに撮った写真はなんと2万枚。松崎さんの撮る写真はどれも古い機械をただ撮るだけではなく、そのモノの魅力が全て表現された美しいものばかりで、思わず見惚れてしまいました。

ちなみに、松崎さんは10円を入れて火災報知機のボタンを押せる機械を作りたいと思っているそうです(笑)。普段押す機会のない火災報知機のボタン。でも「押さないで」と言われるとつい押したくなってしまうのは、きっと私だけではないと思います。松崎さんが発明されることを期待しています。

カフェを出て、今度は上野の「ハードオフ」さんへ。さっきも行ったじゃん!と思われるかもしれないのですが、入ってびっくり。上野と秋葉原では置いてあるモノの分野に違いがはっきりと見られたのです。秋葉原ではチューナーのようなものが目立ちましたが、上野では楽器や炊飯器などが見られて、数も種類も全く違いました。

最近はネットによる出品が多くなっているため、なかなかこうした中古を取り扱うお店は厳しいと話す松崎さん。しかし実際に目でモノを見る、ということは、どのようなデザインで、どこがユニークなのかを見極めてから買うことができるので、実はとても重要な事だったりします。そんな実際に見てから買うということがおろそかになっている時代だからこそ、松崎さんのトレジャーハンティングの面白さは際立つのかもしれません。

上野といえば、アメ横。松崎さんは、アメ横商店街でも物知りぶりを発揮されます。この頃になると我慢していた台風が姿を現したので、雨風を逃げるようにアメ横の地下街へ。そこはまるで東南アジアを旅した気分になれる場所。主催者が臨機応変に行先を変えられるのも普通のツアーにはない面白さです。行った先は、上野どころか日本とすら思えない雰囲気。お店に並べられた見たことのない食べ物の数々、そしてお店の人も日本流の接客ではなく異国感あふれる応対だったのが素敵でした。

こうして3時間のトレジャーハンティングの旅はあっという間に幕を閉じることになります。

モノを発見することは、自分を発見すること。そうおっしゃる松崎さんはモノだけでなく、偶然この日に集まったゲストとの「一期一会」を大切にされている素敵な蒐集家さんでした。実は今回参加されたゲストの中には、この体験をする以前から松崎さんのファンだった方がいらっしゃいました。会いたいと思っていた人に実際会えるだけでなく一緒に街歩きできることも、一対一で話す機会が得られたのも、この旅のすばらしさ。私自身、参加する前はあまり興味がないと思っていたことも、教えてもらうと意外とはまってしまったりして、そんな自分の中でまた新しいモノの発見、そして新しい自分が見つかったような、素敵な旅でした。

ぜひあなたもそんな素敵なモノたちと、自分を見つける旅を体験してください。あなただけの新しい物語がここからはじまるとおもいます。

 

松崎順一さんのストーリーは下記から(日程がない場合はメッセージもしくは日程通知を受け取るで開催リクエストが可能です)

 

早川遥菜

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