旬の果物や生産者の思いに触れることが出来るお菓子屋さん。
『タビマチ』は、
どこかに活動拠点を持ち”旅やまちを彩る”お仕事をされている方々へ
歩んできた物語やまち・ひとへの想いを伺うインタビュー連載です。
彼らの物語や想いに触れ「会いたい!話してみたい!」と思ったら
次はあなたが素敵な人々がいる、あのまち、あの場所へ、旅をしてみて下さい。
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前回の「自家製酵母パンJiJi」の石木さんにご紹介頂き、神奈川県中郡二宮町のお菓子屋さん「Atelier AliceLapin(アトリエアリスラパン)」の小見隆子さんを取材に行きました!
二宮町の最寄り駅はJR東海道線二宮駅。駅近くには菜の花で有名な吾妻山公園があります。
アリスラパンさんは駅から徒歩約6分。地元の印象やお菓子作りへの思いをお伺いしました。
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◾️お菓子屋さんになろうと思ったきっかけ
お菓子屋さんになろうと思ったのはいつ頃だったのでしょうか?
ー中学くらいです。友達が家でクッキーを焼いていると言っていたので、私もやってみようと思って挑戦しました。でもうちにオーブンがなくて、トースターで焼いたんです。そしたら人生初のクッキーが丸焦げになっちゃって。
そこから「どうしたらいいのかな?」と思って、自分なりに本を見たり勉強したりして試行錯誤していきました。それがすごく面白くて、もっとやりたいなと思いました。
中学の時にお菓子作りのおもしろさに目覚めたんですね!その後、高校の時はどう過ごされていたのでしょうか?
ー高校の時はファミリーレストランでバイトしていたんですが、率先してデザート担当になってパフェをたくさん作っていました。バイト以外の時間も自分で材料買ってきて、家で作ったりしていましたね。卒業後は菓子専門学校に通い、都内で働き始めました。
都内ではお菓子屋さんで働いていたんですか?
ー最初は小さな菓子屋で働いていたのですが、紹介で亀戸のイタリアンレストランで働くことになりました。そしたら、そのレストランのデザート担当が私だけだったんです。だから「好き勝手にやっていい」と言われて。自由にやらせてもらえたので、とても良い経験でした。でも教えてもらえない苦しみはあったので、何を生み出すのかというところはきつかったです。
それに、菓子屋の(お菓子の)見せ方とレストランの(お菓子の)見せ方は違う。「持って帰ってもらうお菓子」と「お皿に載せて提供するお菓子」は見せ方が全然違う。「どうやってお菓子を綺麗に見せるか」という点はすごく勉強になりました。レストランはその場でお客さんの反応を見ることが出来るので、すごく良い経験になりました。
就職してから短期間の間に、多様なお菓子作りの経験が出来たんですね。
ーそうですね。あの時の経験があるから(独立して)1人でやることに抵抗が無くなったのかもしれません。
独立しようと思ったのは何かきっかけがあったのでしょうか?
ー菓子屋を志した時から「いずれは独立して1人でやる」と思っていました。
レストランの後、もう一度お菓子屋さんで働いていたんですが30代入った時に「会社の中にいると自由がない。自分のやりたいことを発揮するには自由にならないといけない。」と思ったんですよね。その時に、自分がやりたい方向も決まったなと思ったんです。
私、焼くことが好きなんです。
同じ焼き菓子でも、やり方次第で全然美味しそうに見えなくなってしまう。火の入り方で変わってくるし、つくる人の好みで焼き色の違いも出るし、見せ方も変わってきます。
だから「焼いて魅せる」ということが私は好き。焼き菓子に特化したお店をしようと思いました。
とはいえ地元に戻ってきたら町の人からは生菓子の需要があったので、生菓子と焼き菓子を両方扱う店にしたんですけどね。(笑)
都内ではなく、二宮でお店を始めることにしたのは何故ですか?
ー都内よりも地元・二宮の方が自分のやりたいことを自由に出来ると思ったので、地元でお店をすることに決めました。都内だとコスト面などで制限がかかってしまうことも多くなると感じたので。
「自由に出来る」ことが大切だったんですね。
ー私の祖父は二宮で船大工をしていたんですよ。母方の祖父も父方の祖父も(ものを)つくる人だったので、子供の時から「つくるっておもしろいなぁ」と思っていました。でも美術は得意じゃなかったんですよね。美術の成績が良い人ではなかった。授業として「させられている」という意識があって、少し抵抗を感じていたんだと思います。でもお菓子作りは自由に挑戦することが出来た。だから楽しかった。「自由にできる」ということは、私にとって大切なキーワードだと思います。
◾️二宮町のこと
JiJiの石木さんとの出会いは大磯市だと伺っています。(※大磯市とは、神奈川県中郡大磯町の大磯漁港で月1回開催されていたマルシェ。現在は港改装工事のため休止中。) 出店のきっかけは何ですか?
ー大磯市実行委員の方が近所なんです。このお店をオープンする時、お店の前に看板を出していた程度の告知しかしていなかったんですが、通りかかった時に見ていたらしく来店してくださったんです。その時に「9月から大磯市というマルシェを始めるから出てみないか?」って声をかけてくださいました。そこでマルシェデビューしました。
大磯市も最初は参加16件だったんですよ。でも1年後に4-50件になって。口コミで来場者も増えていって、今は5-6000人くらいになりました。
大磯市の成功例をきっかけに周辺でもマルシェが立ち上がって、二宮でも「たびくま」という昼飲みマルシェが始まりました。始まって5年くらい立ちますね。小さな広場にたくさんの人が来場されますよ。
そうなんですね!「たびくま」いつか行きたいなと思っていました。マルシェに参加されるとまちの人ともたくさん交流されると思うのですが、二宮のまち自体が変わったなという印象はありますか?
ー昔と景色は変わっているところが多いなと思います。畑が住宅地になったり、こんなところにお店があったんだと思うような出会いがあったり。個人でお店を始められる方も多いですね。シャッターが閉まっていたお店の跡地で新しいことを始めている方を見ると嬉しく思います。不動産屋さんが頑張って誘致したりとか、団地リノベーションなどによって新しい人が増えてきた印象もありますね。
ただ、二宮は南北に長くまち全体を歩こうとすると結構距離があります。だから南側で育った私には北側に関しては知らないこともたくさん。南北での交流がもっとあってもいいなと思います。
二宮の良いところって何だと思いますか?
ー相模川越えると時間の流れが全然違います。
同じ中郡ですけど大磯とも違うんですよね。大磯はもともと別荘地だったということもあって、二宮とは少し雰囲気が違うんだと思います。二宮の方が肩の力を抜いて過ごすことが出来る。
せかせかしてなくて、いい意味でだらっとしている。そこが魅力だと思います。
それから人が親切だけど、ちょっとあつかましい。親切の度合いがいきすぎるんです。(笑)
少し話すと数珠繋ぎでどんどん人と繋がっていくことが出来ますよ。
◾️生産者の思いも伝えるお店に
最後に今後のお店のこと、こだわりなどをお伺いしたいです。
ー旬のものを使うこと、地産地消で使うことを心がけています。
例えば苺の場合、小田原の苺農家さんを紹介して頂いてハウスに直接苺を摘みに行かせてもらうという幸運な機会に恵まれました。
柑橘類は根府川が有名ですけど、大磯でも育てているところが多いです。
ブルーベリーも根府川や南足柄などに育てている方がたくさんいらっしゃいます。
果物はなるべく県内の農家さんから直接頂いてお菓子を作っています。
旬や地産地消にこだわるようになったのは何がきっかけでしょうか?
ーせっかく地元でお店をするので、地産地消でやれたらいいなと思っていました。最初は生産者さんとの繋がりがなかったんですが、大磯市などマルシェに出たことで生産地の方から声をかけてもらえたりして繋がることが出来るようになりました。
そこからマルシェでは「売るだけじゃなく誰かと仲良くなって帰ってくる」ということを毎回意識しています。
お客さんだけではなく、出店者同士の出会いやご縁も大切にされているんですね。
ちなみに今の時期(※取材は11月)のおすすめは何ですか?
ー今日のラインナップではアップルパイが1番おすすめです!
今はりんごのシーズンですね。あと、秦野の栗もおいしいですよ。
次は12月…だと苺でしょうか?
ークリスマスは苺のイメージがありますけど、苺の旬は12月ではありません。1月-2月。クリスマスはまだ早いんです。(笑) 2月が味も安定していて1番美味しいので、ぜひ2月に食べてください。
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