AETE あの人がいるから旅したくなる。アエテ

2020.11.06

アエテ interview

『タビマチ』は、

どこかに活動拠点を持ち”旅やまちを彩る”お仕事をされている方々へ

歩んできた物語やまち・ひとへの想いを伺うインタビュー連載です。

彼らの物語や想いに触れ「会いたい!話してみたい!」と思ったら

次はあなたが素敵な人々がいる、あのまち、あの場所へ、旅をしてみて下さい。

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もがな:願望や期待を表す古文の言葉。 ”MOGANA”には、「こんなホテルがあったらいいな」、「こんな旅ができたらいいな」という意味がこめられている。

  • 果てしがない街、京都

 

―今回はインタビューをお受けいただきありがとうございます。“京都”という街を彩るホテル、MOGANA。なぜ、この地にホテルを建てられたのでしょうか。京都への想いをお聞かせください。

学生時代を過ごした場所、多感な時期を過ごした場所はやっぱり特別な場所だと思います。京都は私も、同級生の夫も学生時代を過ごした場所だから、すごく思い入れがありました。

そして、京都は時間だったり、年齢、国籍。色んな軸があって、有象無象色んな人がいるところ。そして、そんな風に色んな人がいる中でも、ちゃんと京都市の敷かれたコンセプトに則りなんとなく統一されていて、みんな“京都”というものをなんとなく守っている。
そこが両立しているのが、「何なんだ?」と、また好奇心が湧いてきます。
1年半MOGANAをやっていて、たくさんの方のお話を聞いていても、まだまだ知らないことがたくさんあります。

 

京都の町屋は、“鰻の寝床”という、間口は狭く、奥行きが深い構造が特徴。こもれびのように光が優しく射し込み、床は京都の石畳をイメージした、ステンレスの畳織りになっている。

  • そこにある、ストーリーを伝えたい

 

―こだわりぬいたたくさんの美と、そのストーリーで、MOGANAが創られているのを感じます。MOGANAの意味は「こんな旅ができたらいいな」ですが、その思いを実現するために、大事にされてきたのはどういうところなのでしょうか。

空間や、京都という土地、そして人との交流。そういうところから、なにかしらのインスピレーションや刺激、そして充足感をもたらすことのできるホテルでありたい、ということです。

たくさんの旅をしてきたけれど、夫は空間が好きで、「このホテルに泊まりたい!」から行先を決めるタイプ。私も、オーナーさんが何を想って、どうやってこのホテルを作っているのか、というストーリーがはっきりと分かるホテルに泊まりたい、と思ってきました。
これを見せるために、このホテルを創ったんだな、というのに大きく感動すると、何か不自由なことがあったとしてもマイナスにはならない。
例えば、ホテルに滞在中、その部屋に、大体のホテルのお部屋には備え付けられている、電子ケトルがないことに気づきました。「お湯が欲しいのですが」とスタッフの方に連絡をすると、「バーで沸かしてあげるから、取りにおいで」と言われ、取りに行ったバーでスタッフの人たちと話しに花が咲き、ついついその場でコーヒーを飲みました。このような交流につながることも新たな楽しさだと感じました。

 

1番人気のお部屋、MOGANAブラック。壁一面が窓になっており、クチナシの壁面緑化を見られる。窓際の明かりは、ISSEY MIYAKEの“陰翳礼讃”。

一流の高級ホテルチェーンでは、部屋にはすべてがそろっていて、日本中どこに行っても安心安全の、均質なクオリティを提供してくれて、それは正解のひとつだと思います。

私たちにはそういう点では足りていない部分もあるかもしれないけれど、なにか突出した面白さや素晴らしさで勝負したい。そこに対する感動を大切にしたいと考えています。

 

中庭から。

 

例えば、テレビは部屋に置いていませんが、それは空間を楽しんでいただきたいからです。

そして時間があれば読書をしたり、バーでスタッフと話していただきたいと思っています。

必要最小限のものしか置いていないけれど、スタッフに言ってもらえたら、足りないものでも、京都での過ごし方でも、いくらでもご相談にのります。

 

バーにて。1時間の予定が、2時間半もたくさんのお話をお聞きしてしまいました。

―ご夫婦おふたりで旅をされる中で、「こういうホテルを作りたい」という気持ちを持つようになられたのでしょうか?

そういうわけではないですね。最初は夫が言い出しました。彼は公認会計士で、ホテルのM&Aや再開発にたくさん関わってきて、「自分だったらこういうホテルを創りたい」、「自分だったらもっとこういうことができる」という気持ちがでてきたようです。ホテルでは衣食住がすべてプロデュースできる。そして、旅行に来たり、リラックスしに来たり、何かしらポジティブな気持ちで来る場所だから、色んな表現をして伝える場所として面白いんじゃないか、という気持ちが芽生えたようです。最初は夫が事業として始めていましたが、その想いを聞いているうちに、私も一緒にその想いを伝える場所をつくりたいと思い、参加することになりました。2人の役割分担は、例えて言うなら夫がサイエンス、私がアート、という感じ。オーナーとして夫が、想いをもって建築や大枠を決めて、私がそこにストーリーを肉付けしていく、という感じでしたね。

 

美しい藤色の南部鉄器。それぞれ、部屋のデザインに合う色になっている。関わってもらった職人さん全員に実際に泊まりに来てもらったことがあったそうで、そのときに職人さんが「ここには六角だね」と釜敷をこの形に変えてくれたという。

―様々な芸術家や職人さんとともにこれほど素敵なホテルを創りあげる、というのは並大抵ではできないのではないかと思います。繁田さんは、もともと芸術やデザインと関わりを持たれていたのでしょうか?

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