AETE あの人がいるから旅したくなる。アエテ

2022.04.01

アエテ interview

『タビマチ』は、
どこかに活動拠点を持ち”旅やまちを彩る”お仕事をされている方々へ
歩んできた物語やまち・ひとへの想いを伺うインタビュー連載です。
彼らの物語や想いに触れ「会いたい!話してみたい!」と思ったら
次はあなたが素敵な人々がいる、あのまち、あの場所へ、旅をしてみて下さい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ビストロ・Mrs. Dangerさんのご紹介を受け、次のタビマチ取材として、古着屋・”It’s Just Better!” さんに向かった。
オーナーの石井佑亮さんは、浅草橋駅から徒歩5分ほどの場所に、弱冠29歳で店舗を構えた。打ちっぱなしのコンクリートに囲まれた店内には、石井さんが自らセレクトした上質な古着の数々や、実父から譲り受けたという大型バイクなど、こだわりに溢れた空間が広がっている。2022年5月で、店は4年目を迎えるという。これまでにどんなストーリーを歩んできたのか、話を聞いた。

本日はよろしくお願いします!まず、Mrs. Dangerさんとはどのようなご関係ですか?

浅草橋を飲み歩いていたとき、バーでたまたま知り合い仲良くなりました。自分より年上の、40代前半くらいの方達と仲が良いです。みなさんは地元の同級生の集まりで、僕も自然と仲間に入れてもらいました。

そういうご縁だったのですね!そもそも石井さんは、どのような経緯で古着屋さんを開いたのですか?

―自分の店を持ちたいという夢を叶えるためです。元々中学生くらいの頃から、自分をカッコよく見せるため、個性を出すためのツールとして、服が好きでした。高校生の時もアルバイトで得たお金で服を買ったりしているうち、古着が好きなこともあり、自分の店として古着屋を開きたいという夢を持つようになりました。大学卒業後は、原宿でアパレル店員として、働いたり辞めたりを繰り返していましたね。アパレル店員として接客スキルを磨いた後、仕入れなどより内側の部分を学びたくなり、バイヤーとして3、4年間働きました。バイヤー時代は海外勤務も経験し、日本とカナダを行ったり来たりしていました。そうして色々な経験を積んだのちに29歳で独立して、”It’s Just Better!”をオープンさせました。


店頭に並ぶこだわりの古着の中には、石井さんオリジナルデザインのものもある。

満を辞してのオープンだったのですね。では、お店を開く場所に浅草橋を選んだ理由を教えてください。

―東東京エリアに古着屋があるイメージが、湧いていなかったからです。
「古着の街」といえば、下北沢、高円寺や吉祥寺など西東京エリアのイメージが強くないですか? 東東京エリアに古着屋を展開し、地域を盛り上げたいという想いがありました。当初は、東東京エリアの中でも蔵前や清澄白河を候補に物件を探していました。しかし地価相場は高いし、何より、理想としていたコンクリート打ちっぱなしの物件があまり無く、なかなかちょうどいい場所が見つからなかったんです。そんな中、浅草橋のここの物件に辿り着きました。

そうだったのですね。奇跡的にこの物件と出会い、念願のお店をオープンされた後、一番大変だったことはどんなことですか?

― 集客問題ですね。オープン当初は、固定のお客さんをつけることが課題でした。服って、食べ物とかと違って嗜好品じゃないですか。万が一なくても、生きてはいけるし。なので、お客さんに来てもらえるようにすることが一番大変でしたね。今は、主に20代前半から30代前半の常連さんが増えて、中には一緒に飲みに出かけることもあるくらい仲が良い人達もいます。

どんなことを意識して集客していたんですか?

― アパレル店員時代に培った接客術を活かして、「この人から買いたい」と思ってもらえるような接客を心がけていました。今も継続しています。取り扱う古着も、状態が良くて綺麗なものにこだわっています。

石井さんの人柄の良さが、お客さんを惹きつけているんですね。これまでお話を聞いていて、石井さんは夢の実現のためにまっすぐ進んできたような印象を受けました。その過程で、迷いなどはなかったのですか?

―迷いは特になかったです。昔から、「かっこいい人」に憧れていて、自分もそうなりたいと思ってここまでやってきました。服や趣味のスケボーで繋がった人達は、年下に優しくて人間性が素敵で、憧れるようになりましたね。あとは自分の性格的なものもありますね(笑)。

 

柔らかい物腰でインタビューに応じてくださった石井さん。今後のことを伺うと、キラリと目が光る。

素敵な性格ですね。今後はお店をどんな風にしていくのですか?

― まずは知名度をもっと上げて、店を大きくしていきたいですね。ゆくゆくは何店舗も増やして、東東京エリアを古着屋で活性化して盛り上げたいです。浅草橋や蔵前に他の古着屋もきたらいいですね。ライバルとかは一切思わないので(笑)。

楽しみにしています! 最後に、社会に出る前の岐路に立ち止まってしまったりする学生に、何かアドバイスをいただきたいです。

― とにかく、やりたいことは全部やった方がいい!人生は一度きりしかないから。自分の子供とか家族とか、何か守らなければならないものがあれば話は別ですけどね。でももし何もないのであれば、何かを我慢して生きるよりは、全部やった方がいい。犯罪以外は(笑)。

実際にやりたいことに挑戦して夢を実現してきた石井さんだからこそ、その言葉から重みを感じます。本日は、ありがとうございました!

夢の実現に向けて迷わず進んできた石井さんは、リスクに対してあまり恐怖心がないご自身のことを「ぶっ飛んでいる」と表現していた。しかし修行時代のお話を伺い、勢いだけでなく実力が伴っていたからこそ、20代でお店を開くということを達成できたのだと思った。
しっかり準備をしたら、あとは前に一歩を踏み出す勇気さえあれば、自ずと道は開ける。それを再認識し、これからのことについて少し前向きになれた帰り道だった。

楢崎美紅

前の記事前の記事 BACK TO 敢えて 次の記事次の記事

アスエ event